2009年には食糧問題にフォーカスして、先進国の食糧を捨てる量と途上国の飢餓のアンバランスを訴えた、モードと野菜のインスタレーションを発表しました。
先進国が捨てている毎日の食の量が飢餓に苦しむ途上国の求めている数倍という統計を見て心が痛みました。
飽食の中に生きる私たちが、世界中から食物を取り寄せる為のCO2排出量は一体どの位になるのだろうか?日本の食糧自給率の低さ、問われる食の安全。
雇用機会とアグリカルチャーは効果的に連動しないのだろうか?
もう一方で、食と私達の密接な関係。食べるという行為、あるいは食材の持つエロティシズム。古代から尽きる事のない人間の欲望の対象。モードと食をアートとして成立出来ないかと思考錯誤しました。
考察の過程で出会った1枚の絵。
野菜のみで構成された人の顔。奇妙な中に大地の恵み、有機的な温かみとシュールな力強さをたたえている、ジュゼッペ・アルチンボルド。
後世のシュールレアリスト達に少なからず影響を与えた16世紀イタリアの宮廷画家です。
もう1つ、偶然目にした野菜のオブジェ。まるで花のように活けられ、ダイナミックに盛られた野菜たち。その圧倒的な存在感。
5つに色分けされた野菜のその固まりたちは、エネルギッシュなオーラを放っていました。東信氏の作品でした。
アーティストであり「JARDINS des FLEURS」代表である東信氏に、Mode&Food Artのプランを話し、賛同を頂き、今回のインスタレーションが実現。
“洋服と野菜のオブジェをMIXしてアートする”唯一無二の素晴らしいコラボレーション作品に仕上がったと思います。
実際に野菜と向き合い始めると、その美しさや多面的な可能性に夢中になりました。
自然からの大切な贈り物。感謝と感動を異なった手法で表現できればと願いました。
続く…